第100章 勘繰りたくもなる状況
すると、
「ジャンは、なかなか
キザなことをするんだな。」
ジャンが出て行ったドアとは、
反対のドアからエルヴィンが入って来た。
「エマ。会いたかった。」
エルヴィンは椅子に座っているエマを
そっと抱きしめた。
「エルヴィンさん、
仕事中なのにいいんですか?」
エマはそう言いながらも、
エルヴィンの腰に手を回す。
エルヴィンからはいつもの
ムスクの暖かく深みのある香りがして、
エマの心を落ち着かせた。
「昨日も一昨日も会えなくてすまなかった。
怖い思いはしなかったか?」
「大丈夫ですよ。」
「睡眠は十分に取れているのか?」
「エルヴィンさんこそ、どうなんですか?」
エマはそう言って、エルヴィンの顔を見る。