第100章 勘繰りたくもなる状況
「でも、もしまだ兵長がエマさんのこと
好きだったらどうすんだよ。」
「……どうもしないよ。」
「兵長のこと、気になってんじゃないの?」
エマはため息を吐き、
「ジャン。もういいの。
私の心の中、そんなに詮索しないでよ。」
と、困ったような顔でジャンを見た。
「……ごめん。余計な世話だったな。」
ジャンはエマから目を逸らす。
「……いや、ジャンが
心配してくれてるのは、すごい分かるし
その気持ちは嬉しいんだけど……」
エマは考え込むように、額に手を当てる。
「やっぱりリヴァイさんの本意は
知らない方がいい気がする。
それを知って、もし私が動揺したら、
エルヴィンさんが傷付くわけだし。」
「……団長もそれを望んでるのかな。」
「……どういう意味?」
「エマさんが自分の気持ちを閉じ込めてるの、
団長はどう思ってるのかなって思っただけ。」
ジャンはそう言うと立ち上がった。
「ごめん。
ほんと、ちょっと勘繰りすぎた。
そろそろ休憩終わるから、訓練戻るわ。」
「……こっちこそごめんね。」
ジャンはエマをそっと抱きしめると、
「エマさんが、
ずっと幸せでいられますように。」
そう言って、食堂を出て行った。