第100章 勘繰りたくもなる状況
ジャンは一瞬で赤くなる。
「え、今の何……?」
「願掛けだけど。」
「……キス、した?」
「………した。」
ジャンは大きく息を吐くと、
「不意打ちすぎる……
ちゃんとお願いする気で、ここ来たのに……」
そう言って、また机に顔を伏せた。
「そうだろうと思ってたけど、
改めてお願いされるとなんかやりにくいなぁ、
って思ってたんだよ。」
エマはジャンの肩を叩く。
「卑怯だよ、エマさん……」
「ダメだった?」
「………ダメではない。」
エマはジャンの返答に笑うと、
「大丈夫。生きて帰って来てくれたら、
次の調査前にもしてあげるよ。」
そう言ってジャンの頭を撫で、
悪戯っぽく笑った。
「次する時は、もっと長めで頼む。」
「……考えとく。」