第97章 懐かしい匂いとベタな展開
少しの沈黙の後、
「……なんかこれって、ベタな展開ですよね。」
エマはそう言ってリヴァイを見る。
「何の話だ?」
リヴァイは眉間に皺を寄せた。
「よくある恋愛小説の話です。
仲の良い友達とじゃれ合ってたら、
ベッドに押し倒されて、
意識し始めるって内容の。」
リヴァイは思わず吹き出すと、
「こんなこと、
そう頻繁に起きねぇだろうが。」
そう言ってエマを見る。
「私もそう思います。
ですけど、本の世界では結構あるんですよね。」
「それなら、押し倒されて、
そのまま抱く話だってあるだろ?」
リヴァイはそう言いながら、
エマに顔を近付けた。
「ありましたけど……
これってそういう展開ですか?」
エマは鼓動が早くなるのを感じながら、
それを誤魔化すようにリヴァイに問いかける。
「お前のしたい展開にしてやるよ。」
リヴァイは優しい目でエマを見つめる。
「……その目、卑怯なんですけど。」
「何のことだ。」
「そんな優しい顔されたら、
目を逸らせなくなります……」
「逸らさなくていいだろ。」
リヴァイはそう言うと、ゆっくり唇を重ねた。