第96章 反省と自棄と真摯と
「おい。お前は俺の部屋にいろ。」
「……え?」
リヴァイの突然の提案に、
エマは気の抜けた声を出す。
「俺の部屋にいる限り誰も訪ねてはこない。
俺は前もって約束している奴以外とは
会わないからな。」
リヴァイはそういうと、
面倒そうに眉間に皺を寄せる。
「でも、それっていいんですか?
誰の力にもなれないですよね?」
「料理人のお前が
身体張ってまで力になる必要はねぇよ。
普通、これは上に立つ人間がすることだ。」
「……本当にいいんですか?」
エマは不安そうにリヴァイを見た。
「お前はもう十分俺の力になった。
それだけじゃ不服なのか?」
リヴァイの目は真摯で、
エマは吸い寄せられるように見入る。
「お前は一個旅団並の戦力
と言われてる男の力になったんだ。
これ以上相手にしても、
大して変わらないとは思わないのか?」
エマは俯くと、
「リヴァイさんが
自分のことそうやって言うの、
なんか新鮮ですね。」
そう言って肩を震わせ、笑い始めた。
「……笑いごとじゃねぇよ。
どうするか早く決めろ。」
リヴァイは呆れたようにエマの顔を覗き込む。
エマは顔を上げ、
「ありがとうございます。
しばらくリヴァイさんのお部屋に
お邪魔させてください。」
と、リヴァイの服を掴んだ。