第94章 後悔の無いように
「泣かないのか?」
「……泣かないですけど。」
「意外だな。」
「……泣いて欲しかったですか?」
エマは怪訝そうな目で、
あまり納得いかないような表情の
リヴァイを見る。
「そうだな。
泣いたら自然に押し倒して
抱けるんじゃねぇかとは、一瞬考えたが。」
「……相変わらずの性欲ですね。」
エマは堪えきれず、
口に手を当てて小さく笑った。
「戦いの前は、特に気持ちが昂るからな。」
「リヴァイさんは、
戦いの前だけでもないですよね?」
「うるせぇな。
男なんてみんなそんなもんじゃねぇか。
エルヴィンも激しく求めてくるんだろ?」
リヴァイのその言葉に、
エマは思わず頬を赤らめた。
「相変わらず、すぐ顔に出るな、お前は。」
リヴァイは呆れたように言う。
「泣くのは我慢できても、こればっかりは
どうしようもないですからね。」
エマはそう言いながら、横を向いた。