第94章 後悔の無いように
「あ、あの、すみません!
俺、出ます!すみませんでした!」
エレンはこれ以上ないほどに赤面し、
ぎごちない走りで部屋を出て行った。
「取りあえず、
説明してもらって、いいですか……?」
エマは床に座り込んだまま、
少し息を弾ませながら、リヴァイを注視する。
「最初に言ったとおりだ。
調査前だから後悔のないようにしたまでだが。」
悪びれることもなく、
平然とそう言うリヴァイに
「あの、リヴァイさんは、
私にキスしたことによって、
後悔しないってことですか?」
と、エマは未だに落ち着く気配のない
鼓動を抑えるかのように、
胸に手を当て、問いかける。
「いや。」
リヴァイはそれだけ言うと、
エマを押し倒した。
「キスだけで俺が満足すると思ってんのか?」
エマはリヴァイの本気の目を
直視できず、
「……いや、あの、すみません。
キスで満足してもらえれば幸いです。」
と、目を離したままで言った。