第94章 後悔の無いように
その時。
「おい、エマいるか。」
いきなりドアが開く。
「リヴァイさん……」
エマはエレンの頬に手を当てたまま、
呟くように言った。
「え?!リヴァイ兵長!」
エレンは目を開けると、
赤い顔のままで、リヴァイに敬礼する。
「エレンか。
悪かった。続けてくれ。」
リヴァイは思わず踵を返した。
「ちょ、兵長、ここまで見られて
それは無理ですっ、」
エレンはそう言うと、リヴァイの袖を掴む。
「いや。後悔のない様にしとけ。」
「この状況を兵長に目撃された時点で、
かなり後悔しつつあるんですけど……」
エレンは赤面したままため息を吐いた。
「リ、リヴァイさんは
何の用だったんですか?」
エマは取り敢えず話を変えようと、
リヴァイに問いかける。
「ああ。
……エレン、先に済ませるが問題ないな?」
リヴァイはそう言うとエマの目の前に立ち、
「俺も後悔のないようにしようと思ってな。」
と、エマの顎を引き寄せ、唇を重ねた。