第93章 願掛け
「……エマさん。
お願いがあるんだけど。」
普段はあまり見ないエレンの真剣な表情に、
エマは思わず息を呑む。
「……私で聞けるお願い?」
「エマさんじゃないと無理。」
エレンはそう言うと、
不意にエマを抱きしめた。
「エマさん。
俺、頑張ってくるから。」
エレンの声は、力強くエマの胸に響く。
「自分にできること、
精一杯やってくる。だから、」
エレンの腕に力が入るのが分かった。
「……だから帰ってきたら、
また抱きしめてくれる?」
そう言ったエレンの耳は、
ほんのり赤く染まっていた。
エマはエレンの背中に手を回すと、
「もちろん。
エレンの帰り、待ってるからね。」
そう言って強く抱きしめた。