第92章 守られていた事実
「ハンジさんっ、少し休ませてください……」
調査3日前の昼時。
エマはハンジの部屋へ、
傾れる様に入り込んだ。
「エマ。あれ、仕事は?」
ハンジは実験の手を止めて、
エマに問いかける。
「私がいたら仕事にならないからって
追い出されました……」
それを聞いたハンジは、
面白そうに笑い出した。
「そっか。今日は調査3日前だもんね。
前回よりだいぶ言い寄られてるの?」
「……比べ物になりません。
私は何人と抱き合えばいいんですかね?」
エマは半ば自棄になりながら言い放つ。
朝から十数人、いや、数十人の兵士に
誘われ、手を握られ、肩を抱かれ、
抱きしめられ、
唇まで奪われそうになるのを阻止して
ようやくここまで来た。
前回の調査前と比べると、
天地ほどの差があった。