第89章 勘違いは勘違い
辺りが薄暗くなってきた頃、
エマはゆっくり口を開く。
「やっぱり、
リヴァイさんはすごいですね。」
「ここのことか?」
リヴァイはエマに顔を向ける。
「こんな穴場を知ってたこともですけど、
さっき庇ってくれたじゃないですか。
柄の悪い人たちから。」
「結局お前が倒したけどな。」
リヴァイはそう言うとフッと息を漏らした。
エマの予想だにしなかった
勇敢な姿を思い出し、
また吹き出しそうになるが、
「いえ、あの勝負は、
リヴァイさんがいなきゃ
成り立たなかったですから。」
エマのその言葉で、
リヴァイはエマの目を見入った。
「リヴァイさんと一緒じゃなきゃ
あんな無茶な勝負は挑まなかったです。
リヴァイさん以外の人と一緒でも
勝負しようとは思わなかったですよ。
挑んだところで、勝っても負けても
連れて行かれてたでしょうから。」
リヴァイは軽く目を瞑り、エマの話を聞く。
「リヴァイさんが見守ってくれていたから、
私は安心して勝負に出られたんです。」
エマはリヴァイに笑いかけると、
「私を信じてくれて、
ありがとうございました。」
そう言って頭を下げた。