第89章 勘違いは勘違い
「なんとか間に合ったな……」
少し息を切らしたリヴァイの視線の先には
ポツンと佇んでいる、
やっと二人座れるくらいのベンチが一つ。
他には特に何もなく、一瞬見ただけでは
ただの殺風景な景色に見えた。
「もしかして、ここって……」
苦しそうに呼吸をしながら、
エマは顔を上げる。
倒れ込むようにベンチに座ると、
丁度綺麗な街並み向こうで
壁の外に夕日が沈んでいくのが見えた。
「俺が唯一、
壁内でも悪くないと思える場所だ。」
リヴァイはそう言うと、
エマの横にゆっくり座った。
「……言葉もないです。」
エマはそれだけ言うと、息を呑む。
二人はそれ以上言葉を交わすことなく、
夕日が沈むのを見届けた。