第88章 勝負の行方
「すみません。
思ったより時間かかりました。
まだ時間大丈夫ですか?」
エマはトランプを急いで片付けながら、
リヴァイに声をかける。
リヴァイの表情は、
元の色を取り戻していた。
「……お前、一体何者だよ。」
リヴァイの問いに、
「………しがない料理人です。」
エマは俯き加減に答える。
「えげつないギャンブラーの
間違いだろうが。」
リヴァイはそう言うと、
肩を震わせて笑い始めた。
「久々に見ました、
リヴァイさんが大笑いしてるところ!」
声を抑えるように、
片手で口を覆うリヴァイの顔を
エマは嬉しそうに覗き込み、
「昔、これで
生計立ててたことあるんですよ。
でもこのことが兵団にバレたら
かなりマズイので、
内緒にしてもらってもいいですか?」
そう言って口の前で人差し指を立てる。
「当たり前だ。」
リヴァイはニヤリと笑い、エマの手を握った。
「あと少しで着く。急ぐぞ。」
リヴァイとエマは、
残りの階段を駆け上がった。