第88章 勝負の行方
数分後、
「確かに違いました。」
エマはそう言うと、
トランプを地面にそっと置く。
「ロイヤルフラッシュ。」
長身の男はエマの手を聞くなり、
トランプを床に投げつけた。
「相手になりません。
それで生活してるとか、
冗談も顔だけにしてくれますか?」
エマは呆れた表情でそう言って、小さく笑う。
「なんだと?!」
長身の男は、
エマに掴みかかろうと手を伸ばした。
が、リヴァイは長身の男の手を素早く踏みつけ、
冷たい表情で睨みつける。
男を見下ろすリヴァイの目は、
まるで獲物に飢えた鷹のようで
長身のはずの男は
その鷹にまんまと掴まったネズミのように、
小さく見えた。
長身の男にとって唯一の長所だった身長すら、
一瞬で全く味気のない、否定的な要素に変わる。
「消え失せろ。」
リヴァイがそう言った途端、
長身の男は階段を転がるように降りて行った。