第86章 本音と建前
それからしばらくして、
エルヴィンが部屋に戻ってきた。
「エマ。待たせたな。」
「いえ、ありがとうございます。」
エマは台拭きを受け取ると、
机を拭き始める。
「リヴァイはよく眠っているようだな。」
「はい。」
エマはそれだけ言うと、押し黙った。
「面倒だが、リヴァイを部屋に送ってから、
君の部屋へ行くことにしよう。」
エルヴィンはリヴァイを肩に担ぐと、
「エマ。先に部屋へ戻っていてくれ。
鍵はそこにあるから、施錠はしっかり頼む。」
そう言って足早に部屋から出て行った。
エマはため息を吐くと、
『深く考えたらダメだ。』
頭の中でそう思い、考えを遮断した。