第84章 変化は突然に、
その頃、エレンとエマは
廊下を歩きながら話をしていた。
「エマさん。なんか、俺のせいで
修羅場みたいになってごめんな。」
エレンは申し訳なさそうな顔でエマを見る。
「いや、エレンのせいじゃないから!
大丈夫。エルヴィンさんも
分かってくれると思うし。」
エマはそう言いつつも、
エルヴィンの険しい表情を思い出し、
少し表情を曇らせた。
「……と言うか、
これは完全に私が悪いんだよね。」
エマは立ち止まり、俯いて話す。
「まず、リヴァイさんと別れてすぐ、
エルヴィンさんの恋人になる
っていうこと事態が
無神経なことだったわけだし。」
エレンはエマの正面に立つと、
「でも俺はエマさんの気持ち、
分かるけどなぁ。」
そう言ってエマに笑いかける。
「辛い時に支えてくれた人を好きになるのは、
無神経なことじゃないだろ。
それって自然なことだと思うよ。」
エマは顔を上げると、
エレンの目を見る。
「大丈夫。
少しやきもち妬かせたくらいで、
そんな深く考えんなって。」
エレンはエマの頭を
くしゃくしゃと撫でた。
「エレンは優しいね。
エレンにそう言ってもらえると、
なんか少し気持ちが楽になった。」
「良かったよ、そう言ってもらえて。」
エレンはそう言うと、
エマの手を引いて歩き出す。
「エレン?」
「俺が巨人の力で引き抜いた芋、
まだ転がしたままだろ?
焦ってたから、
ろくに大きさも見てないんだよ。」
「じゃあ、また一緒に菜園行こうか。」
エマがそう言うとエレンは笑顔で頷き、
エマの手を強く握った。