第7章 大人組との飲み会
次の日の夜。
外は曇っていて、星も月も見えそうにない。
エマは夕食の片付けを終わらせ
薄暗い廊下を、
自分の部屋に向かって歩いていた。
「エマ。
部屋に戻る前に見つけられてよかった。」
聞きなれた優しい声に振り向くエマ。
エルヴィンの声は心なしか弾んでいる。
「エルヴィン団長。どうかされましたか?」
「今から少し時間あるかな?」
エルヴィンは手に持っていた
少し大きめの紙袋を持ち上げて見せた。
「大丈夫ですよ。それ何が入ってるんですか?」
エマはエルヴィンの紙袋を
興味深げに見る。
「それは部屋に着いてからのお楽しみだな。」
エルヴィンは楽しげに笑った。
「気になるなぁ!何だろう。」
エマはそわそわしながら、
あることを思い出し立ち止まる。
「……あ、そう言えば。」
「何か用事でも思い出したかい?」
エルヴィンはエマの顔を覗き込んだ。
「……いや、ついこの間、兵員と話してる時に
話題に上がったんですけど
団長って、自分のお部屋にあまり人を
いれないそうじゃないですか。」
エマは申し訳なさそうに
エルヴィンの顔を見る。
「この間は手伝うからって
ごり押しで部屋に入っちゃいましたけど
これからは控えたほうが
良いんじゃないですか?」
そんなエマの言葉に、
エルヴィンは優しく笑い
「なんだ、そんなことか。
今更そんな他人行儀なことを
言わないで欲しいな。寂しいじゃないか。」
と首に手をやる。