第6章 リヴァイと倉庫で
その日の夜。
案の定、ジャンは食堂に来た。
「……エマさん、
俺になんか恨みでもあるの?」
来て早々、そんな第一声を発するジャンに、
エマは笑いが込み上げる。
「いやー、ほんと、ジャンって何で
いつも目撃者になるんだろうね。」
堪えきれず、
笑いながら答えるエマに、ジャンは
「いやいや、こっちが聞きたいよ。
俺、呼ばれても無視するようになれば
いいのかな……」
遠い目をしながら、冗談めかしてそう呟く。
「今回も何であんな状況になったか
教えてくれるよな?
俺には知る権利があると思うんだけど。」
ジャンはそう言いながら乱暴に椅子に座った。
エマは暗闇の中であったことを除き、
何故あの状況になったのかだけを
説明し終わると
「今回もタイミングの問題だよね。」
と、言いながら笑う。
「……ったく。とりあえずエマさんは
トラブルに巻き込まれすぎ。
お祓いとかしてもらったら?」
ジャンはエマに向かって
祓串を振る真似をした。
「確かに、ここに来てから何かと
トラブルに見舞われてる気がする。
そろそろジャンにも何か形になる
お詫びをしないと、とも思ってるよ。」
そう言うとエマは申し訳なさそうに
頭を掻く。
「その提案、乗った!」
ジャンは嬉しそうに声を上げ、立ち上がった。
「えー、現金なやつだなー!ジャンは!
あんまり難しいお願いは聞けないよ?」
エマは大きくため息を吐く。
「まぁお願いごとの一つや二つ、
ちゃちゃっと叶えて貰わないと。
俺のこの大そうお堅い口も
緩んじゃうかもしれないし?」
ジャンの悪戯な笑顔に、
「分かった。
何か私で力になれそうなことがあったら
言って。」
エマはそう言って笑った。
「期待してる!じゃぁおやすみー!」
食堂に入ってきた時と、出ていく時の
テンションが真逆なジャンの後姿を、
エマは笑いながら見送った。