第80章 拒絶の理由
「エマ。ありがとう。
こんなに幸せな誕生日は初めてだよ。」
「……そんな大げさな。」
エマはエルヴィンの腰に手を回し、
エルヴィンの胸に顔を埋めた。
だが、すぐに顔を上げると
「エルヴィンさん、ケーキ、
ろうそく消さないと蝋が滴れるので、
早く消して下さい。」
エマはそう言いながら、エルヴィンから少し離れる。
「君は私がこんなに感激している時でも
食べ物のことになると、冷静だな。」
エルヴィンはそう言って笑うと、火を吹き消した。
「さすが料理長だな。
この食糧難にこんな完成度の高い
ケーキが作れるとは。
とても美味しいよ。」
エルヴィンはケーキを食べながら
感嘆の声を上げる。
「そう言ってもらえて良かったです。」
エマは嬉しそうに笑った。