第80章 拒絶の理由
次の日の夜、
エマが部屋でエルヴィンを待っていると
「エマ。遅くなってすまない。
まだ起きてるか?」
そう言ってドアを叩く、
エルヴィンの声が聞こえた。
エマは急いでドアを開け、
「エルヴィンさん!ギリギリですよ!」
と、エルヴィンを机の前の椅子に座らす。
「ギリギリ?何の話だ。」
エルヴィンが不思議そうな顔をしていると、
「お誕生日、
おめでとうございます。」
そう言って、エマは蝋燭を立てた
小さなケーキを持ってきた。
「この食糧難なので
大したケーキは作れなかったんですけど、
気持ちです。」
エマは机にケーキを置く。
「エルヴィンさんのことだから
自分の誕生日なんて
忘れていたと思いますが……
あと30分もしないうちに
誕生日終わっちゃいますよ。」
エマはそう言いながら、
エルヴィンの反応がないことに気付き、
「あれ、ケーキ食べれませんでしたっけ?」
そう言ってエルヴィンの顔を
覗き込もうとすると、
エルヴィンは突然立ち上がり
勢いよくエマを抱きしめた。