第79章 拒絶
風呂から出た直後、
エマはエルヴィンの姿を見つける。
「エルヴィンさん。」
エマが後ろから声を掛けると
エルヴィンは振り向き、
「エマ。風呂上がりが。」
と、エマの濡れた髪を撫でた。
「はい。エルヴィンさんはまだ仕事ですか?」
「ああ。だが、もう終わる。
終わり次第、君の部屋に行ってもいいかな?」
そう尋ねるエルヴィンだったが、
「いや、ダメです。」
と、即座に拒否され、一瞬言葉を失った。
「何か約束でもあるのか?」
「ないですけど……」
エマはエルヴィンから少し目を逸らす。
「エルヴィンさんも、
たまには自分の部屋で
ゆっくり休んだ方がいいですよ。」
「では、君が私の部屋に来てくれれば」
「エルヴィンさんの部屋、
本棚に囲まれてて
落ち着かないんで無理です。」
あまりにハッキリと拒否するエマに、
「そうか……
君の風呂上がりの姿を見せられて、
舞い上がっている私を
そこまで拒絶するとは……」
と、エルヴィンは横目でエマを見た。