第78章 選択の理由
「エルヴィン団長、
いつからエマさんのこと好きだったの?
この兵団にエマさんが来た時から?」
「ううん。私が幼い頃から
働いてた食堂にいた時からだから……
5年前からかな。」
「は?5年も片想いしてたの?」
ジャンは驚いて声を上げる。
「私もずっと知らなかったんだけど。
それこそ、恋人になった日に聞いた。」
「普通、最初に告白する時に言うよな。
そんな心揺らぎそうなこと。」
ジャンは訝しげな目で言う。
「そうだよね。
でもそれを言わないのが
エルヴィンさんなんだと思う。
私の気持ちを
すごく大事に考えてくれてたから、
私の心に動揺を生むようなことは
言わなかったんだと思うんだよね。」
「すごいな。
大人というか、意思が強いというか。」
ジャンは感心するように言った。
「そうなんだよね……
ほんと私には勿体無いよ。」
エマがため息混じりにそう言うと、
「そう思うんなら
俺にしとけばいいんじゃない?
俺と恋人になる?」
ジャンは楽しそうに笑う。
「そんな流れるように言ってもダメだよ。」
エマはそう言って小さく笑った。