第76章 報告と情欲
「ダメですよ!仕事とすることと、
どっちが大事なんですか?!」
「それは、する」
「わー!それ以上言ったら怒りますよ!
団長、しっかりして下さい!」
エマは声を上げて
エルヴィンの言葉を遮った。
「君は本当に面白いな。」
エルヴィンはそう言うと
肩を震わせて笑い、
「普通、そこは仕事と自分、
どっちが大事か聞くところだろう?」
と、問いかける。
「このご時世、
そんな質問する女性なんていませんよ。」
エマはそう言ってエルヴィンを見るが、
思い立ったように
「あ。もしかして貴族のお嬢様に
聞かれたことあるんですか?」
と、ニヤニヤしながら
エルヴィンに視線を向けた。
「そうだな。
まぁ、聞かれたことは多々あるよ。」
エルヴィンはあからさまに
嫌そうな顔をして答える。