第76章 報告と情欲
「なんか、前より仕事量増えてませんか?」
エマは大量の書類を横目で見た。
「君と恋人になれて、浮かれていたから
仕事がはかどっていたんだが、
そのおかげで他の仕事まで
任される羽目になったよ……」
エルヴィンのその言葉に、
エマは笑い出す。
「浮かれてたんですか?
全然そうは見えなかったですけど。」
「今も浮かれているよ。
君がこんなに近くにいる。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの頬に優しく触れる。
「私も、浮かれてますよ。」
エマはそう言って笑うと、
エルヴィンの手に、自分の手を重ねた。
エルヴィンは机に向かうと、
真剣な表情で仕事を始める。
エマはその様子を見ていたが、
暫くすると、エルヴィンが座っている
椅子の隅に一緒に座り、
エルヴィンにもたれかかった。
エルヴィンは嬉しそうに
エマの髪を撫でた後、
書類に視線を戻した。