第75章 想い出の倉庫にて
次の日の夕方。
エマは、倉庫の中にいた。
外はポツポツと雨が降っていて、
屋根に雨が当たる音が、少し心地いい。
『この倉庫にリヴァイさんと二人で
閉じ込められたことあったよなぁ。』
エマはランプ片手に、
そんなことを思い出していた。
『今は、普通に思い出せる。
涙も出そうにない。
エルヴィンさんのおかげだ。』
エマはそう思って少し笑うと、
倉庫を物色し始めた。
しばらくして、お目当てものを発見し
「あった!」
と、思わず声を上げる。
その時、
「おい。誰かいるのか?」
ここ最近、ずっと聞いていなかった、
不機嫌で警戒心の強いリヴァイの声が、
倉庫の扉付近から聞こえた。