第73章 苦悩と切ない恋の物語
「だが、君がこの兵団に来て、
近くで生活するようになり
その気持ちは徐々に変わっていった。
君の心に触れる度、自分の隣には
君が必要だと思ったんだよ。
だから、時には強引なこともした。」
エマは今までのエルヴィンの行動を
思い起こす。
「……考えてみれば、地震の時以降、
エルヴィンさん、かなり積極的でしたよね。」
「あの時は驚かせてすまなかったな。」
エルヴィンはそう言ってエマの髪を撫で、
「それでもやはり、君はリヴァイを選び
リヴァイは君を選んだ。」
そう言って、寂しそうに少し息を漏らした。
「だから私は、陰でもいいから
君を支えることができたら、
もうそれで十分だと思った。
君がリヴァイのことで悩んだら
自分を頼ってくれればそれでいいと。
………だが、君に触れる度、
思わずにはいられなかった。
もし君が自分のことだけを見てくれたら
どれだけ幸せなんだろう、と。」
エルヴィンはなるべく感情を
抑えるように言う。
「……大丈夫です、
私はエルヴィンさんの側にいます。」
エマは、エルヴィンを強く抱きしめた。
「そうだな……
君は私を選んでくれた。」
エルヴィンの左腕は、エマの背中を優しく摩る。