第72章 君だけに見せる顔
「……今の、笑顔が素敵な人、誰?」
「エレン。
お前の気持ちはよく分かるよ。
俺も最初はそう思った。」
唖然とするエレンの肩に、手を置くジャン。
「今朝の話が、何で既に噂に……」
そう言って考え込むエマに、
「いやいやいや、エマさん、
今朝から恋人って
どういう状況でそうなったの?
一昨日まで俺と一緒にいたのに?」
と、思わず突っ込むジャンだったが、
「ジャン。落ち着けよ。
戦う相手が悪すぎる。」
と言うエレンの一言に、
大きくため息を吐いた。
そしてエレンは、
「よく考えてみろよ。
人類最強の男と別れたとしても、
その人類最強の男を連れてきた男が
エマさんのことを好きだとしたら、
普通の神経してる奴はきっと諦めるぞ?」
そう言ってジャンの肩を叩いた。
「……エレン。
今日はやけに説得力があるな……」
ジャンは横目でエレンを見る。