第72章 君だけに見せる顔
夕食の時間も終わりに近付いてきた頃、
エマは食堂に入って来たジャンに声をかける。
「ジャン!」
「あ!エマさん!
てか探してたんだけど!」
ジャンはエマの元に寄って来るなり、
エマの手を引き
食堂の隅に連れて行った。
「なぁ、俺、ちょっと
聞きたいことあるんだけど」
ジャンは眉間に皺を寄せながら言う。
「いや、私もジャンに報告しないといけないことが」
「エマさん!
いつから団長とできてたの?!」
二人の会話は、
突然のエレンの侵入により中断される。
「……エレン。
今それを俺が聞こうと思ってたんだよ……」
ジャンはエレンの胸ぐらを掴みかかる勢いで言った。
「そうなのか?まぁ誰が聞こうと
そんなのはどうでもいいんだけど、
エマさん、真相はどうなの?」
エマはいきなりの
単刀直入な質問に答えかねていると、
「エマさん。取り敢えずこの噂が
嘘か本当かだけ教えて。」
ジャンは懇願するかのように、エマの肩を掴む。
「本当だ。」
急に聞こえた低くよく通る声。
一斉に背後を確認する三人の後ろには、
書類の束を抱えるエルヴィンがいた。