第6章 リヴァイと倉庫で
エマはリヴァイに促され、
先に倉庫の中に入ると
「あの、リヴァイさん。ここのドア、
一度閉まると中から開けるのは多分無理なので、
開けっ放しでお願いし」
口早にそう言いかけたところで、
バタンとドアの閉まる大きな音がした。
「……悪い。閉まった。」
リヴァイは暗闇に包まれた倉庫の中で
呟くように謝る。
「まぁ、なんとかなるだろう。」
そう言いながらドアを押してみるが、
ピクリとも動かない。
「……無理そうだな。オイ、他に出口は」
そう言いかけたところで、
エマの声が全く聞こえないことに気付く。
「エマ。側にいるのか?」
リヴァイは暗闇の中、手を伸ばした。
「あの、他に出入り口はないです……」
エマの声は明らかに様子がおかしかった。
「何だ。お前、調子が悪いのか?」
一旦ドアの話から離れると、エマに声を掛ける。
「いや、別に……と言いたいところですが、
結構調子悪いかもしれないです……」
エマがそう答えると同時に、
服が引っ張られていることに気付いたリヴァイは
「お前、もしかして
暗いところがだめなのか。」
そう言って服が引かれる方向を向いた。
「実は結構苦手なんですよね……
あまり言いたくなかったんですけど、
この状況で隠すことは困難なので……」
心なしか、服を引く力が
強くなったように感じる。
「……そうか。
まぁ苦手なものは割りかし誰にでもある。
とにかくここから出る道を考えるか。」
リヴァイは特に気にするわけでもなく、
辺りを見回すと
「あそこに小窓があるな。」
と、雨戸の隙間から若干光が漏れている
天井近くの小窓を見つけた。