第6章 リヴァイと倉庫で
それから数日後。
辺りが少しずつ暗くなってきた頃に
エマは小さな倉庫の前にいた。
『ここの倉庫、ドアの建付け悪いから
入りたくないんだけど……』
「おい。入らねぇのか?」
突然後ろから聞こえた声に驚いて
振り向くエマ。
「リ、リヴァイさん……
驚かさないで下さいよ……」
「倉庫に用事があるんじゃねぇのか?」
エマが驚いているのを余所に、
尋ねるリヴァイ。
「倉庫に使ってない鍋があるって
聞いて取りに来たんですけど……
リヴァイさんは何でここに?
倉庫に来るなんて珍しいですよね?」
エマもリヴァイに質問する。
「立体機動装置の調子が悪くてな。
訓練中だが修理道具を取りに抜けてきた。」
リヴァイは腰につけている
立体機動装置を摩った。
「そうだったんですね。
……あの、ここのドア、
建付け悪くて開けにくいんで
良かったら一緒に引いてもらえますか?」
エマはそう言うと、
困ったような表情でドアを見る。
「ああ。少し下がっていろ。俺が開ける。」
リヴァイはエマの発言を受け、
ドアに手をかけた。
『リヴァイさん、ふいに優しいんだよなぁ。』
エマはリヴァイの後姿を見ながら、
心の中で呟く。
「本当に建付けが悪いな……」
リヴァイは面倒くさそうな顔で
眉間に皺を寄せ、思い切りドアを引く。
ドアはキリキリと
鈍い音を立てながらゆっくり開いた。