第5章 ジャンと食堂にて
暫くの沈黙の後、
「……じゃあ、私もそろそろ」
「エマ。何の話だったんだ。」
エマが立ち上がった瞬間、
リヴァイに呼び止められる。
「え、……それって言わないとダメですか?」
エマは俯き加減で
恐る恐るリヴァイに尋ねた。
「何だ。悪い話なのか。」
そう言うリヴァイは、
エマから目を離さない。
「う……いや、悪いというか……」
エマはとうとうリヴァイの視線に
耐えきれず、話し始めた。
「……どうやら、リヴァイさんと私が
恋仲であるという噂が流れているみたいで……
その話を聞いていて……
そしたらリヴァイさんが来てしまって……」
「……何だ。その話か。」
リヴァイは小さくため息を吐いた。
「え?リヴァイさんも知ってるんですか?」
目を丸くするエマに
「三日程前、ミカサに聞かれた。」
リヴァイは面倒くさそうに
頭を掻きながら続ける。
「エレンに、俺とエマの関係が
噂になっている話を聞いたらしくてな。
エレンが真相を
知りたがっているようだったから、
直接俺に聞いてきたらしい。」
それを聞いて、エマは思わず吹き出した。
「ミカサらしい、ですね。」
「まぁ、そうだな。」
リヴァイは軽く頷く。
「……リヴァイさん。
それで、ミカサになんて答えたんですか?」
思わずそう口走ってしまったことに
エマは少し後悔する。
「いや、すみません、分かり切ったこと」
「お前は何て答えて欲しかったんだ?」
と、エマの言葉に
被せるように言ってきたリヴァイの目は
至って真剣で、エマは思わず目を逸らす。
「……質問を質問で返すの
やめてくれませんか?」
やっとそう答えると、
「……まぁいい。俺は寝る。
エマも早く寝ろよ。」
そう言ってリヴァイは食堂から出て行った。
『……答えが分かり切ったこと
聞いちゃったから、
もしかして気分悪くしたかな……』
エマは自分が妙な質問をしたことを
反省しながら自分の部屋へ向かう。
と同時に、何故自分が
あんな質問をしたのか疑問に思った。