第69章 運命の恋
「ああ。あの時のことか。」
エルヴィンはそう言うと笑い出す。
「あ。あの時もそんな感じで
いきなり笑い出してましたよね?
私、そんなにおかしいこと
言いましたっけ?」
エマはエルヴィンの顔を覗き込む。
「いや。嬉しかったんだよ。」
エルヴィンはそう言って
エマの髪を撫でると話し出した。
「あの頃から私は、一般市民からも、
かなり怖がられていてね。
まぁ噂通り、冷酷かつ非情な
指揮官として兵団を率いていたから
それは仕方のないことだったんだが。」
エマはエルヴィンの話に聞き入る。
「そんな時、私のことを何も知らない
君に出会って、君は私に対して
普通に接してくれただろう?」
「エルヴィンさん、あの時から
優しかったですからね。」
エマはそう言うと
エルヴィンに笑いかける。
「だが、君のいた店に借金取りが来て、
私は男たちに暴力的な行為を振るった。
しかも、きっと酷く怖い顔をしていただろう。」
エマはその時のことを
思い出すかのように、目を瞑る。