第69章 運命の恋
エマはいきなりの衝撃的な出来事に、
思わず腰を抜かしそうになるが、
エルヴィンに支えられる。
「……すまない。驚かせてしまったな。」
そう言うエルヴィンは、
いつもの優しい目に戻っていた。
「す、すみません。
びっくりしただけです。」
エマはゆっくり深呼吸をすると、
「ありがとうございました。」
そう言って深々と頭を下げる。
「いいんだ。私は静かに
食事がしたかっただけだから。」
エルヴィンはそう言うと、
席に戻ろうとするが
「待ってください!」
と、エマはエルヴィンの腕を
強く掴んだ。
「借金、すみません、
肩代わりしてもらう形になって……
必ず返しますから。
あの、借用書、持っててください。」
そう言って、エルヴィンの手に借用書を握らせる。
エルヴィンは小さく笑い、
「ここの経営をおろそかにしない程度に
少しずつ返済してくれればいいから。」
と、エマの目を見つめた。
駐屯兵を呼び、男の身柄を拘束してもらうまでの工程を、エルヴィンは一人で円滑に進める。
エマはその間、何もすることができず、
その様子を静かに見守った。