第69章 運命の恋
エルヴィンは踵を変え、
もう一人の方の男へ向く。
「え、お、おれはしてないです!」
男は震えおののき、
思わずその場にしゃがみ込んだ。
「誰もそんなことは聞いていない。」
エルヴィンは男の頭を掴むと、
自分の方を向かせる。
「ここの借金はいくらだ。」
突然の問いかけに、
男は焦りながら借用書を取り出した。
エルヴィンは何も言わず、
ペンと小切手を取り出すと
そこに書かれている金額をそのまま書き
男に小切手を手渡す。
「これで問題はないな?」
男は小切手に一瞬目をやると、
借用書を投げ捨て、
這うように店を出て行った。