第69章 運命の恋
男が拘束された後、エルヴィンは店から出る。
それに続いて店を出たエマは
「今日は色々と本当にありがとうございました。
ご迷惑をおかけしてすみません……」
と、再び深々と頭を下げた。
「いいんだ、頭を上げてくれ。
私の方こそ皿を割ってしまってすまなかった。」
エルヴィンはそう言って、エマの肩を優しくたたく。
「せっかくいい食堂を見つけたのに、
なくなってしまったら困るからな。」
エルヴィンのその言葉に、エマは少し笑うと、
「今日のお礼です。
大したものじゃないですけど。」
そう言って、エルヴィンに
可愛く包装された
大きめのクッキーを一つ手渡した。
「これは、私がもらってもいいものなのかな?」
エルヴィンがそう尋ねると、
「はい。もらって下さい。
昨日、面白そうだから出店で買ったんですけど、
それ、フォーチュンクッキーって言って
クッキーの中に占いの紙が
入ってるらしいです。」
エマは楽しそうに答える。
エルヴィンは小さく笑うと、
「ありがとう。
基地に帰っていただくことにするよ。」
そう言ってエマの顔を見た。
そして、少し困ったような顔で
「さっきの私を見て、何も感じなかったのか?」
と、問いかける。