第5章 ジャンと食堂にて
「そりゃー、兵長とエマさんの
色恋沙汰に決まってるだろ。」
そう言ったジャンはニヤニヤ笑った。
「なっ、ほんっと君たち
そういう話ばっかりしてるんだねー!
もうリヴァイさんの迷惑になるような
噂するのはやめてよ!」
エマはつい焦った声を出す。
「仕方ないだろ。俺らだって年頃の男だぜ?」
「まぁそうなんだろうけどね……
そういう噂したいのも
分からないでもないけど……
さすがに私とリヴァイさんって……」
「俺がどうかしたのか。」
突然の低い声の侵入に、
焦って食堂の入り口を見るエマとジャン。
「り、リヴァイ兵長!」
ジャンは焦りで声が裏返っている。
「……リヴァイさん、どうしたんですか?」
エマはリヴァイの顔色を窺がいつつ尋ねた。
「風呂から出たら
食堂の電気が付いていたからな。
誰かいるのかと思って覗いたら、
俺の名前が聞こえて」
「す、すいません!」
ジャンは思わずリヴァイの声を遮る。
「……まぁいい。ジャン。
お前は明日も訓練で早いだろう。
早く休め。」
リヴァイは呆れたような顔でジャンに言った。
「……はい。失礼します。」
ジャンは静かに立ち上がると、
エマに目配せをして食堂から出て行った。