第68章 余裕のない大人の夜
「避妊具の話、
あんなにしてたのに、すいません。
私があんな風になってしまって……」
「なんだ。それも気付いてなかったのか?
ちゃんと付けていたから安心しなさい。」
「え、いつの間にですか?!」
思わず声を上げるエマに
「君が私に、入れて欲しいと訴えている時だな。」
エルヴィンはそう言うとエマの背中を優しく摩る。
エマは発狂したくなる気持ちを抑えるように、
エルヴィンの胸に頭を押し付けた。
「いつか君を抱きたいと思っていたが、
いざ抱いてしまうと、
もう本当に離したくなくなったよ。」
エルヴィンはそう言いながら笑った。
「好きな女性とすることが、
こんなに気持ち良いことだとは知らなかった。」
「でも、エルヴィンさん、
すごい余裕そうでしたけど………」
エマが思わずそう言うと、
「私以上に君に余裕がなかったから、
そう見えただけだろう。」
エルヴィンはそう言って笑う。
「それは否定できないです。」
エマは小さくため息を吐いた。