第66章 見通された思い
「エルヴィンさんも、私のことは
何でも見通してますね……」
「……そうだな。
まぁ、そうならなければいいとは
思っていたが。」
エルヴィンはそう言いながら笑うと、
また机に向き直った。
「……すみません。」
「私に謝ることではないよ。」
エルヴィンはそう言って書類を捲る。
「私はリヴァイ程、嫉妬深くはない。」
エルヴィンはそう言うと、
横目でエマを見て
「エマ。明日も早いだろう。
私のことは気にせず寝なさい。」
それだけ言って、再び書類に目を向けた。
「………エルヴィンさんは、
そういうつもりで
私の部屋に来たんじゃないんですか?」
エマは、思わず問いかける。
「なんだ。
私がそんなに欲求不満に見えるのか?」
エルヴィンは笑いながら言う。
「そういう訳ではないんですけど……」
エマは困ったように頭を掻く。
「……私がここで仕事をしていると眠りにくいか?」
「いえ、いてくれた方が安心します。」
「それなら」
エルヴィンはそう言うと、
エマの手を引き寄せ
「君が、私に抱いてもらいたいと思っているのか?」
と、耳元で囁くように言った。
エマは一気に赤面すると
「い、いえ、そう言う訳じゃ」
そう言いかけて、
エルヴィンに抱きしめられる。
「君は嘘が下手だな。」
エルヴィンは小さく笑うと、
「今だけリヴァイのことを忘れさせてあげよう。」
そう言って、エマに唇を重ねた。