第5章 ジャンと食堂にて
「……エマさん?」
何も言わないエマを不思議に思い、
ジャンはエマの顔を覗き込んだ。
「……うーーーん。
いや、私も今何でだろうって考えてたとこ。」
そう真剣な表情で言うエマに、
ジャンは思わず吹き出した。
「ちょっと、ジャン。
こっちは真剣に考えてんのに、何笑ってるの?」
エマはジャンの頭を小突く。
「いや、なんかその顔見てたら、
俺の考えはハズレなんだろうなって思って。」
ジャンは笑いながら答えた。
「残念ながらジャンが想像してたような
色恋沙汰は、私とエルヴィン団長の間には
存在しないからなぁ。」
エマも釣られて笑う。
「でも、エルヴィン団長と初めて会ったのは
5年前なんだよね。
まぁその時はただの店の常連さん
って感じだったから、
信頼関係とかは分かんないけど。」
エマは頬杖を突きながら答えた。
「5年も前から知り合いなのか?」
ジャンは意外そうに目を丸くする。
「そういえば、エマさんは
リヴァイ兵長とも普通に会話してるもんなぁ。
前からの知り合いじゃなきゃ、
あんな親しげに兵長と話なんて出来ないぜ。」
ジャンはそう言って、小さくため息を吐いた。
「あー、確かにリヴァイさんは
最初のうちは怖いかもね。」
エマはリヴァイと
最初に会話した時のことを思い出す。
「ほら、エマさん。
リヴァイ兵長のことは
リヴァイさんって呼んでるだろ?
なんかそれだけでも、
すげー親しげに聞こえるんだよなぁ。」
ジャンはそんなことを言いながらニヤリと笑う。
「ジャン……
一体何が言いたいの?」
そんなジャンを再び小突くエマ。
「いやー、実はさ、
エマさんとリヴァイ兵長も噂されてんだよ。」
そう言ってジャンは
エマの顔を再び覗き込んだ。
「………え、噂って?」
エマはもしや……と思い、
警戒した目でジャンを見る。