第66章 見通された思い
「一昨日、ジャンは部屋に来たのか?」
エルヴィンの唐突な問いかけに、
エマは一瞬言葉を失うが、
「……来ました。」
と、それだけ答えると、
「そうか。それならあれが
役に立ったのかも知れないな。」
エルヴィンはそう言って、
横目でエマを見た。
「やっぱり、
あれをジャンのリュックに入れたの、
エルヴィンさんだったんですね。」
エマは大きくため息を吐く。
「エマは気付いていたのか。」
エルヴィンは目を丸くした。
「……そりゃそうですよ。
ジャンは同部屋のコニーの仕業じゃないか
って言ってましたけど、
さすがにコニーがそんな気の利いた真似
しないと思いますし。」
エルヴィンはその言葉に笑い出す。
「そうか。相変わらずエマには
何でも見通されるな。」
「……でも、何でですか?」
エマは、少し俯き気味に問いかけた。