第66章 見通された思い
「……あの、ここでするんですか?」
「ん?そうだが。」
あまりに平然と答えるエルヴィンに、
エマは思わず吹き出す。
「すみません。ここで集中できるんですか?」
思わず笑ってしまったことを謝りつつも、
エルヴィンに問いかけると
「できるよ。この資料も、
特に見られて困る物はないしな。」
そう言って資料を机に置く。
「……心配で来てくれたんですか?」
「それもあるが、ただ単に、私が君に
会いたくなったという方が正しいな。」
エルヴィンはそう言って笑って見せた。
「いつもこんなにお仕事されてるんですね。」
エマはエルヴィンの机の横で、呟くように言う。
「そうだな。
まぁ、そんな難しいものでもない。
調査前の慌ただしさに比べれば、
このくらいなんてことはないよ。」
エルヴィンはそう言うと、メガネを掛けた。