第66章 見通された思い
次の日の夜。
エマは風呂から出て、
自分の部屋で窓の外を眺めていた。
“無理に忘れようとしなくてもいい”
そう言ってくれたジャンの言葉を思い出す。
自分は、リヴァイのことを
忘れられる日が来るのだろうか。
ここに居る限り、
リヴァイの姿を目にする限り、
もう忘れることなんて不可能な気がしていた。
色々な思いを巡らせていたとき、
「エマ。私だ。」
と、ドアの向こうからエルヴィンの声がした。
エマは急いでドアを開ける。
「エルヴィンさん。どうかしましたか?」
「夜分にすまないね。ちょっといいかな。」
エルヴィンはそう言うとエマの部屋に入った。
「エルヴィンさん、その荷物、何ですか?」
エマはエルヴィンが抱える
大きな段ボールを指さす。
「ああ。これからする仕事だ。」
エルヴィンはそう言うと、
机の脇に段ボールを置いた。
「え、これからこの量の仕事をするんですか?」
エマは目を丸くして言う。
「まだ少ない方だよ。
昨日は相当やりこんだからね。
あとは殆ど確認の書類だけだ。」
エルヴィンはそう言うと、机の前の椅子に座った。