• テキストサイズ

自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第5章 ジャンと食堂にて




その日の夜。

夕食の時間も終わり、
食堂内の殆どのランプが消され、
静まり返っている。



その中で机を拭いていたエマに

「エマさん、
ちょっと話してもいいですか……?」

と、遠慮がちにドアから顔を覗かすジャンが
声をかけた。





二人で向かい合って席に座ると

「……ジャン。それは私を疑っている目だね。」

エマはそう言って
ジャンの目をじっと見る。


「いや、疑ってるも何も!
あの場面見て疑わない方がおかしいだろ!」

つい敬語を忘れて話すジャンは、
思わず手で口を塞ぐ。




「……すいません。少し興奮して……」

「いや、いいよ。ほとんどの子が
私に敬語なんて使ってないからさ。」

そんなジャンを見て
エマは楽しそうに笑った。





「……今まで、エルヴィン団長が
自分の部屋に誰かを入れることなんて
なかったんだよ。」

ジャンは困ったような顔で話し始めた。


「リヴァイ兵長や、ハンジ分隊長は
出入りしていたようだけど、
それは昔からの信頼関係があっての話だし、
俺らみたいな普通の団員は、
団長の部屋に入ったことはない。」


ジャンの話はエマには意外だった。


「荷物を運ぶのを手伝った時も、
部屋には絶対入れなかった。
部屋の前でお礼言われて、それだけなんだよ。」



「そりゃ、俺らもまだ兵団に入って日が浅いし、
部屋の中には重要機密書類だって
たくさんあると思うから、
入れないで当たり前だと思ってたけど
そこにエマさんがいたから……
これはもう、そういう関係としか思えなくて。」

ジャンはそう言うと、
エマの表情を盗み見る。

/ 770ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp