第65章 余裕のある大人の夜
「さすがエルヴィン団長。
仕事量、半端ないな……」
ジャンはそう言って体を震わせる。
「あんなに忙しいのに、
今日来てくれたんだね。」
エマは小さく笑った。
「エマさんが関係すると、
どれだけ俺が信用されてないか
よく分かったよ……」
ジャンはそう言うと、ため息を吐く。
エマはそんなジャンの肩を優しく叩き、
「今日は食堂で一緒に夕御飯食べよう!」
と、明るく声をかけた。
エマとジャンは食堂で夕食を食べた後、
各々の部屋へ向かう。
……はずだったが、
「ジャン。
こっち、私の部屋しかないよ。」
いつまでも自分の横を歩くジャンに、
エマは声をかける。
「今日は一日一緒にいる予定だからな。」
平然と答えるジャンに、
「そう。それならジャンは
いくら寝てたとしても、
12時来たら帰るんだよ。」
と言って鼻で笑う。
「明日、5時起きです……
良かったら、5時まで寝させてください……」
ジャンは立ち止まり、
深くお辞儀をした上で丁寧に言い直す。
「仕方ないな。何かしでかしたらごめんね。」
そう言ってニヤリと笑うエマに、
「え、それ普通、俺が言うやつでしょ?」
ジャンは思わずツッコミを入れると、
エマの後を追った。