第64章 余計なお世話
「エマ。そのクローバーを
もらってくれるか?」
「え、でも、
エルヴィンさんが見つけたのに、
私がもらうのってどうなんですか?」
エマはエルヴィンの問いかけに、
戸惑いながら返事をする。
エルヴィンは少し頬を緩めると、
「私が見つけたからこそ、
君にあげたいんだよ。」
そう言って、エマの手に
四つ葉のクローバを握らせ、
「エマ、四つ葉のクローバーの
花言葉を知っているか?」
と、尋ねる。
「花言葉、ですか?知らないです。」
エマは首を傾げた。
エルヴィンはエマの耳元に
口を近付けると、
「私のものになって、私を想って下さい」
そう囁くように言った。
エマは一気に赤面し、思わず顔を伏せる。
「エマさん、何急に赤くなってんの?」
その話を聞いていなかったジャンは
座り込んだままで、エマの赤面した顔を
不思議そうに見ると、
「ちなみにジャン、
君が見つけた五つ葉のクローバーは
財運が上がる暗示だよ。」
エルヴィンはそう言ってジャンの肩を叩く。
「なんか現実的で、
あんまり素直に喜べないですね……」
ジャンは微妙な表情で笑った。
エルヴィンは未だに赤面して、
何も話さないエマの顔を覗き込み、
「エマ。大丈夫か?
いつも同じようなことを言っているんだから、
今更そんな照れることもないだろう。」
と、エマの髪を撫でる。
「いや、さっきのは結構、グッときますよ……
胸に矢が刺さりかけました……」
エルヴィンは思わず吹き出すと
「そうか。
それなら、もうひと押しだな。」
と、楽しそうに笑った。