第64章 余計なお世話
昼食を食べ終えて片付けを終わらせると、
エマはベンチの近くに屈んで、
真剣な表情で地面を見始める。
「エマさん、何してんの?」
ジャンはエマの横に並び、
「何か落とした?」
と、エマの視線の先を見た。
「これだけクローバーあるんだから、
きっと四つ葉のクローバー
見つかるかなぁと思って。」
エマはそう言って、ジャンに笑いかける。
「四つ葉のクローバーか。
見つけたことねぇな。」
ジャンはエマの横に屈んだ。
「私もなんだよね。
探そうとしたことはあるけど、
結局途中で諦めちゃって、
見つかったことはなかった。」
エマはクローバーを手で掻き分け、
目を凝らす。
「よし!それなら、今日は
見つかるまで探そうぜ!」
ジャンが気合の入った声で
エマに声をかけると、
「だったら、どっちが早く見つけれるか
競争しようよ!
エルヴィンさんも、」
エマはそう言いかけて、口を噤む。
エルヴィンはベンチに座ったまま、
うたた寝をしていた。
「団長、相当疲れてんだろうな。」
「この状況で寝られるんだもんね……」
エマはそう言いながら、
エルヴィンに視線を向ける。
「仕方ないから、四つ葉のクローバー
探しは二人でしよっか。」
「いや、さすがに俺は最初から
団長誘う勇気なんてなかったけどな。」
ジャンは強張った顔で
エマに視線を送りつつ、
二人は四つ葉のクローバーを探し始めた。