第63章 ジャンの想い
「ちょ、ジャン!
どさくさに紛れて何してんの!」
エマは思わず声を上げた。
「仕方ねぇだろ。嬉しくなったんだから。」
「嬉しくなったんだったら、
もっと他の表現にしたらいいでしょ。」
「………例えば?」
「……お、踊るとか?」
エマのその言葉に、ジャンは吹き出す。
「何その提案。かなり斬新だな。」
「かなり申し訳ないんだけど、
この間のパーティー、
踊る間もなく帰ったんだよね。」
「は!?あんなに練習したのに?」
ジャンは思わず声を荒げる。
「色々あったのはジャンにも教えたでしょ?
そんな暇、なかったんだって……」
エマは申し訳なさそうにジャンを見た。
「じゃぁ、分かった。」
ジャンはそう言って立ち上がると
「一緒に踊ってくれますか?」
そう言ってエマに手を差し出す。
エマは少し頬を緩め、
「踊るほど嬉しかったんだね。」
と、ジャンの手を握った。