第63章 ジャンの想い
「でもな。
それってしょうがないことだと思うんだよ。
こっちからしてみても、
仲良くした結果、相手に悲しみや
絶望を与えたくなんてないからな。
だから、特に仲良くしようとも思わなかった。」
「それで最初会った時、素っ気なかったの?」
「まぁ、そうだな。」
ジャンはそう言うと、小さくため息を吐いた。
「でも、今はそうは思わない。」
ジャンはエマを抱く手に力を込める。
「俺は、自分に正直に、
悔いがないように生きたい。
どんな形で死んだとしても、死ぬ直前は
いい人生だったって思いたい。
その為に俺は、死ぬ気で訓練して、戦って、
もちろん恋愛だってする。」
「……ジャン、
まだ17歳のくせに、しっかりしすぎだよ……」
エマは目に涙を溜めて言う。
「エマさんは25歳のくせに
すげー泣き虫だな。」
「……ジャンが泣かしたんでしょ。」
エマはそう言って
ジャンの胸に頭突きした。
「そんな話してる間に、もう着いちゃったよ。」
ジャンはエマをゆっくり地面に降ろした。