第63章 ジャンの想い
次の日。
「ジャン。早いね!」
エマが公園に着くと、
ジャンは既にベンチに座って待っていた。
「まぁな。」
ジャンは得意げに笑う。
「今日、どこ行くの?」
「着いてからのお楽しみ。」
ジャンはそう言ってニヤリと笑うと、
歩き始めた。
ジャンとエマは、
内地の街とは反対側に向かって歩く。
「え、これ、
何も教えられずに歩くパターン?」
エマは不安げにジャンを見る。
「なんだよ。信用できないのか?」
ジャンはそう言うと、
エマに手を差し出した。
「ここまで来たら、
誰にも見られないと思わない?」
「な、何する気?」
エマは訝しげにジャンを見る。
「ちげーよ!手!」
ジャンはすかさずエマの手を握った。
「なぁ、最近のエマさん、
いつもより突っ込みどころ多すぎて
俺、すげー大変なんだけど。」
エマはその言葉に笑いながら、
「ごめん。確かにいつもより
ジャンの突っ込み、冴えわたってるね。
でも、手繋ぎたいなら、
そう言ってくれたらいいのに。」
と言って、ジャンの手を握り返す。
「………恥ずかしいだろ。」
ジャンは呟くように言うと、また歩き出した。
「でもさ。これ、いいのかな。」
エマは繋いだ手を見る。
「いいだろ。今エマさん、
恋人いないんだろ?」
「いや、そうなんだけど。」
「なに?嫌だった?」
ジャンは少し心配そうな顔でエマを見た。
「嫌じゃないけど、
私、ジャンの告白断ったでしょ?」
「……だったらなんだよ?」
「こういう、思わせぶりな態度は
良くない気が………」
エマはそう言うと、少し目を伏せる。