第63章 ジャンの想い
「それでさ、明日、二人でどっか行かない?」
ジャンは少し小声でエマに問いかけた。
エマは少し考えるように、
料理を盛り付ける手を止める。
「……二人って、ジャンと私と二人ってこと?」
「それ以外、誰と二人だと思ったんだよ。」
ジャンは訝しげな目でエマを見た。
「せっかくの休みなのに、
ゆっくりしなくていいの?
ジャン、非番の時は昼まで寝る派でしょ?」
「何でそんなこと知ってんだ?」
「コニーが言ってたよ。」
エマは笑いながら言う。
「ほんとにこの兵団は
プライバシーがないな……」
ジャンはため息を吐いた。
「とにかく、明日、10時に
菜園近くの公園で待ち合わせな。」
「え、私まだ何も言ってない!」
「は?もう強制だよ。
さっさと返事しないからだろ。」
ジャンはそう言いながら、楽しそうに笑う。
「……いつまでそんな
死にそうな顔してるつもりだよ。
気分転換くらいしようと心がけろ。」
ジャンのその言葉に、
エマは小さく頷く。
「ちゃんとエマさん楽しませるから。
絶対来いよ。」
ジャンはそう言うと、食堂を後にした。